滋賀県近江八幡市JR安土駅前で社会保険労務士をしております小辰知己です。
今回はストレスチェックについて解説します。
ストレスチェックとは?
ストレスチェックは、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、
本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、
検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげることによって、
労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを主な目的としたものとなります。
※2015年12月に施行されました。
実際に私も会社員時代にストレスチェックを受けたことがあります。
健康状態を確認するマークシートに答えて、自身の健康状態を把握する形式でした。
ストレスチェックの対象となる事業場は?
ストレスチェックは従業員50人以上の事業場においては義務付けがなされております。
反面50人未満の事業場では現在努力義務となっております。
※今後全事業場でストレスチェックが義務化になる可能性が高いです。
小規模事業場においては個人のプライバシー保護が十分確保できないという理由から義務付けがなされていませんでしたが、近年においては外部機関などの活用によってこの課題に対処できる環境が整いつつあります。
そのため、義務化の対象拡大が適切という判断に至りました。
ストレスチェックの実施状況
ストレスチェックの実施状況についても触れておきたいと思います。
こちらは従業員数で大きく数字が異なってきます。
50人未満の事業場であれば約35%程度ですが、50人以上となれば81%、100人以上となれば90%以上となり従業員数が増えるにつれて実施率も上がっていく傾向にあります。
厚生労働省のHPに実施状況をまとめたPDFが紹介されておりますのでご参考になさって下さい。
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001431177.pdf
ストレスチェック制度の注意点
ではここからは実際にストレスチェックを実施する際の注意点をご紹介します。
個人情報・プライバシーの保護
ストレスチェックの結果は労働者の極めてセンシティブな健康情報です。本人の同意なしに事業者や上司に開示することはできません。
また、結果の保存・管理は実施者(産業医や外部機関など)が厳格に行い、本人への通知も確実に行う必要があります。
不利益取扱いの禁止
高ストレスと判定されたことを理由に、配置転換・昇進抑制・解雇などの不利益な扱いをすることは禁止されています。
労働者が安心して受検できるよう、制度導入時に「結果が人事評価や処遇に直結しない」ことを周知することが大切です。
集団分析と職場改善への活用
ストレスチェックは単に「実施して終わり」ではなく、部署ごとに集団分析を行い、職場のストレス要因を把握することが求められます。
業務量の偏りや人間関係の課題などが見えた場合には、改善策を講じ、労働環境全体のメンタルヘルス向上につなげることが重要です。
ストレスチェックを実施しない場合の罰則
ストレスチェックを実施しない場合の直接的な罰則はありません。
ただし常時従業員50人以上の事業場においては、労働基準監督署へのストレスチェックの結果に関する報告義務を怠った場合に最大50万円の罰金を課されます。
おわりに
今回はストレスチェックについて解説しました。
近年の労働者のメンタル不調に対応する重要な取り組みと言えます。
また解説したように今後50人未満の事業場においてもストレスチェックの義務化が進んでいきます。
適切に対応できるよう、早めに準備しておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。