滋賀県近江八幡市JR安土駅前にて社会保険労務士をしております小辰知己です。
皆さまご存じのように、人出不足が深刻な問題となっております。
人を採用したいがなかなか採用に繋がらない・・・
そういった悩みをお持ちの会社様も多いのではないでしょうか?
人を増やして行くことが現実的に難しくなっているいま注目されているのが生産性の向上です。
生産性の向上に必要な事の1つとして”従業員のスキルアップ”という点に着眼点がおかれています。
採用が難しいのであれば、今いる従業員のスキルアップを図り生産性の向上を図って人手不足に対応する。
この様な取組が必要となってきます。
今回ご紹介する助成金は従業員のスキルアップに繋がる研修を実施した企業に対して支給される「人材開発支援助成金」をご紹介します。
人材開発支援助成金とは?
まずは人材開発支援助成金の制度内容を確認してみましょう。
”人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です”(厚生労働省HPより引用)
めちゃくちゃ簡単に言えば従業員のスキルアップに繋がるような研修を実施した企業に助成金を支給するというものです。
そんな人材開発支援助成金ですが、コースが以下の4つのコースに分かれます。
今回は「人材育成支援コース」をピックアップします。
どういった研修が助成金の対象となるか?
ではどの様な研修が助成金の対象となるのでしょうか?
先程ご紹介した制度内容の所に職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合とありました。
具体的に言うと営業マンの方に営業力UPのための研修を実施するとか、社内で必要なスキルを身に付けるための研修費用などが対象となります。
また管理職や社内のリーダーを育成するための研修も対象となります。
私自身もどの様な研修が対象になるかは色々と調べましたが、明確な基準は特にないようです。
私の知る範囲の情報ですが、ある程度助成金の対象となるかどうかの判断に関しては間口が広いようなので、助成金対象になるかは一度労働局の方へ確認してみると良いかと考えます。
逆に対象とならない研修は以下の様なものです。
- 職務に直接関連しない訓練等(普通自動車免許取得のための講習など)
- 職業人として共通して必要となるもの(マナー講習など)
- 実施目的が訓練に直接関連しない内容のもの(研究発表会、見学会など)
- 通常の事業活動として遂行されるものを目的とするもの(コンサルタントによる経営改善の指導、社内制度説明会、QCサークル活動など)
※すべてを明記しているわけではありません。
詳しくはhttps://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001238063.pdfのP25をご覧ください。
どういったものが対象となるかの判断が難しい場合は労働局へ問い合わせてみることをお勧めします。
また助成金対象となる研修は10時間以上の訓練を実施する必要があります。
この点も抑えておいてください。
助成額はいくらとなるのか?
では助成金を活用し、研修を実施した場合いくらの助成金が支給されるのか?
皆さん気になる所かと思います。
まず助成金として経費助成と賃金助成があります。
詳しく見てみましょう。
※人材育成支援コースの人材育成訓練を実施した場合を想定しております。
経費助成
まず経費助成です。
こちらは訓練に要した費用を助成するものです。
助成率は45%となります。
ですので例えば100万円の研修を実施した場合は45万円が助成金として支給されることになります。
おおよそ半分が助成金として返ってくるという事になります。
賃金助成
続いて賃金助成です。
訓練を実施する時間は本来であれば労働時間となります。そうなると当然訓練を実施した時間にも賃金を支払わなければなりません。
本来労働すべきである時間に研修を実施したのであれば、その分も補填しようという事で賃金助成が支給されます。
賃金助成は1人1時間当たり760円です。
ですので従業員が10時間以上の研修を受講した場合には7600円が賃金助成として支給されます。
シミレーション
では具体的な例を用いて助成金の金額を確認してみましょう。
(例)従業員3名、研修費用30万円、研修時間合計10時間の場合
まず経費助成として30万円×45%で135,000円が経費助成として支給されます。
続いて賃金助成です。
研修時間が10時間で3名受講するため合計は30時間。
1人1時間当たり760円なので30時間×760で22,800円が賃金助成として支給されます。
135,000円+22,800円の合計が157,800円となり30万の研修が実質142,200円で受講できることになります。
これは個人的に凄く良い助成金かと思っております。
ぜひ活用して頂きたいですね!
※上記はあくまで一例です。実際の支給額はその他の細かな要件等で変動します。
詳しくはhttps://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001238063.pdfのP28以降をご確認ください。
おわりに
今回は人材開発支援助成金をご紹介しました。
私自身の考えですが、時間が無い中で社員研修を実施して従業員のスキルアップを図ろうとしている企業を応援していきたいという思いがあります。
その様な企業にぜひ活用して頂きたいのが今回ご紹介した助成金です!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。