滋賀の社労士が解説!時間単位の年次有給休暇とは?

滋賀県近江八幡市JR安土駅前で社会保険労務士をしております、小辰知己です。

有給休暇は多くが1日単位や半日単位での取得かと思いますが、時間単位での取得が可能ということをご存じでしょうか?

今回は時間単位の年次有給休暇について解説いたします。

時間単位の年次有給休暇とは?

ご存じかと思いますが、有給休暇の取得は1日単位での取得が一般的かと思います。

会社によっては半日単位での取得を認めている会社も多いかと思います。

時間単位の年次有給休暇はその名の通りですが、1時間や2時間の様に日単位ではなく時間単位で取得できます。

例えばとある会社の所定労働時間が8時~17時である場合に8時~9時までの1時間のみという形で有給休暇を取得することが出来るというものになります。

始業開始前に少し有給を取りたいときや1時間早く帰りたい場合などに便利な制度かと思います。

時間単位の年次有給休暇のルールは?

では時間単位の年次有給休暇使用に当たってのいくつかのルールや注意点を確認します。

労使協定の締結

時間単位の年次有給休暇は労働基準法にて定めがありますが、各企業において取得が義務付けされた制度ではありません。

時間単位年休に関しては、時間単位での取得は管理が面倒であったり時間単位での取得をすることにより人員の配置の問題などが生じ、取得に前向きでない企業も多くありますし、弊所のクライアントにおいても取得を認めていない会社も多くあります。実際労働者側からしてもあまりメリットを感じていない方も多い印象です。

制度導入に当たっては労使協定の締結が必須となります。

労使協定に以下の事項を定めなければなりません。

  • 時間単位の年次有給休暇の対象労働者の範囲
  • 時間単位年数の日数
  • 時間単位年休1日の時間数
  • 1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数

1つずつ確認していきましょう。

時間単位の年次有給休暇の対象労働者の範囲

まずは適用対象者の範囲です。

これは例えばパートの方や契約社員の方を取得の範囲に認めるか?という点です。

もちろん従業員全員を認めても問題ありませんし、雇用形態や働き方(フレックスタイム制度の対象者など)によって適用を認める、認めないを分けてもよいということです。

行政通達(平21.5.29基発0529001号)によれば「事業の正常な運営の妨げになるか」という観点から対象労働者を定めるべきとあります。

事業運営上の支障があれば、上記の様な雇用形態や働き方の従業員の方を適用除外とすることは可能と言えます。

時間単位年数の日数

では続いて時間単位年数の日数です。

労働基準法上時間単位の年次有給休暇の取得限度は、前年度からの繰り越しの有無に関わらず5日が上限となっています。

5日が上限であるため、3日にしたり2日にしたりということも可能です。

時間単位年休1日の時間数

次は時間単位年休1日分の時間数です。

この時間数は一日の所定労働時間を下回らない、整数時間を定める必要があります。

所定労働時間が8時間であれば、8時間という形で定めるということになります。

1日の所定労働時間が例えば7時間半であるとした場合に、その30分を切り捨てて7時間を1日の時間数とすることはできません。切り上げて8時間とする必要があります。

1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数

時間単位の年次有給休暇は必ずしも1時間で取得する必要はありません。

所定労働時間よりも短い時間であれば可能になります。

例えば一日の所定労働時間が8時間であれば、1時間~7時間のいずれかの時間を取得単位とすることが出来ます。

おわりに

今回は時間単位の年次有給休暇について解説しました。

年次有給休暇に関しては様々なルールがあり、時間単位の年次有給休暇に関しても少しわかりにくい部分もあるかと思います。

何かお困りごとがありましたら是非ご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。