業務改善助成金活用のポイントは?

滋賀県東近江市で社会保険労務士をしております小辰知己です。

近年の物価高騰や最低賃金の上昇に伴い、従業員の方の賃上げを実施する機会も以前より増えてきているのではないでしょうか?

賃上げを実施し業務効率化を図ることが出来る設備を導入することで助成金を受給することができます。

業務改善助成金という助成金です。

今回は業務改善助成金についてご紹介します。

比較的活用しやすくお勧めの助成金です。

※令和8年3月24日現在の情報を基に記事を書いております。

業務改善助成金とは

そもそも業務改善助成金とはどのような助成金なのでしょうか。

厚生労働省のHPにはこのように書かれております。

業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。

厚生労働省 業務改善助成金ページより引用

事業場内最低賃金というのはその会社内の最低賃金です。

例えばとある会社の最低賃金が1,050円だとすればその金額が事業場内最低賃金となります。

地域別最低賃金とはまた別のものになりますので注意が必要です。

事業場内最低賃金の引上げ+生産性向上に資する設備投資を行うことで助成対象となります。

賃上げを実施しただけで助成金が受給できるわけではありません。

申請の要件

では業務改善助成金の対象となる事業場について確認していきます。

  • 中小企業・小規模事業者であること(大企業と密接な関係を有する企業(みなし大企業)でないこと)
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

少しややこしいのが2つ目の要件の事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であることになるのではないかと思います。

この点を少し解説していきます。

先程少しご説明しましたが事業場内最低賃金は会社内における最低賃金です。仮にAという会社があってAの事業場内最低賃金は1,050円だとします。

令和7年10月6日までの滋賀県内の最低賃金額は1,017円でした。

事業場内最低賃金が1,050円。地域別最低賃金が1,017円。この場合の差額は33円です。

要件は事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であることです。

つまり上記の例では要件を満たすことになります。

事業場内最低賃金が高めに設定されている場合などは申請の対象とならない点に注意が必要です。

例えば事業場内最低賃金が1,200円の会社であれば地域別最低賃金1,017円の50円以内に収まっておらず、申請の要件を満たしません。

助成金額

では気になる助成金額についても説明していきましょう。

助成金額は賃金の引上げ額と引き上げた人数により変動します。

引き上げ額と引上げ人数が多いほど助成額も増えていきます。

以下のPDFをご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001471309.pdf

厚生労働省HPにて公開されているものです。

こちらのスライドの2枚目に助成金の上限額が明記されております。

最低でも30円以上の賃金引上げが必要なことがわかって頂けるかと思います。

例えば賃金の引上げ労働者2名で45円以上引き上げた場合は上限額110万円となります(事業場規模30人未満の事業者の場合)

上限額なので110万円が必ず貰えるわけではありません。

購入する設備の金額により助成額は変わります。

助成される金額は生産性向上に資する設備投資等にかかった費用に一定の助成率をかけた金額と
助成上限額とを比較し、いずれか安い方の金額となります。

一定の助成率とは事業場内最低賃金が1,000円未満であれば5分の4、1,000円以上であれば4分の3となります。

例① 助成上限額110万円、購入設備が150万円の場合(助成率4分の3)

150万円に4分の3を掛けると112.5万円、助成金の上限額が110万円。

112.5万円と110万円のいずれか低い額が助成対象となるため、この場合は110万円の受給となります。

例② 助成上限額110万円、購入設備が100万円の場合(助成率4分の3)

100万円に4分の3を掛けると75万円、助成金の上限額が110万円。

75万円と110万円のいずれか低い額が助成対象となるため、この場合は75万円の受給となります。

設備投資について

生産性向上に資する設備投資等について触れていきます。

生産性向上に資する設備投資とはどういったものか?

この点に関して疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

明確な定義はなく、少し判断が難しいです。

以下が弊所にて対応した業務改善助成金の生産性向上に資する設備投資です。

  • 建設業の原価管理ソフト
  • パワーリフトトラック
  • 着物を製造している企業様のミシン
  • ミニバックホー(ユンボ)

弊所の経験則では、設備投資の対象は比較的間口が広いように感じております。

もちろんその会社の業務に全く関係のないものであれば、助成対象とならないことが多いですが、業務に付随する設備投資でかつ生産性の向上に繋がるものであれば対象となりやすいと感じています。

購入しようとする設備が助成対象となるか?に迷った場合は労働局などに問い合わせると良いでしょう。

助成金の注意点

ここまで助成額や生産性向上に資する設備について解説してきました。

ここでは助成金申請においての注意点をまとめます。

賃金引上げの対象となる労働者について~雇入れ後6月を経過した労働者であること

先ほど事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であることが1つの要件であることをお話ししました。

50円以内であった場合に30円以上の賃上げを実施する。この点は抑えていただけているかと思います。

ただし、賃金引上げの労働者が雇入れ後6月を経過した労働者であることが必要です。

入社から6月経過していない労働者に賃金引上げを実施しても助成対象とならない点は注意しましょう。

賃金引き上げ前に交付申請書を労働局へ提出すること

助成金申請においては賃金の引上げ前に労働局へ交付申請書を提出する必要があります。

例えば10月1日から賃金を引き上げたにも関わらず、交付申請の届出が10月1日以後であれば助成対象となりません。

必ず9月30日以前に交付申請書を労働局へ提出しましょう。

賃金規程の変更を行うこと

従業員が10人以上の会社においては就業規則の作成が必要となります。

就業規則(賃金規程)において事業場内最低賃金を明記し、併せて施行日も定める必要があります。

こちらは支給申請の際に労働局への提出を求められておりますのでご注意ください。

まとめ

今回は業務改善助成金をご紹介いたしました。

業務改善助成金は、使いやすくかつ設備投資もできるため大変お勧めの助成金です。

ただし、申請の要件を満たしていたとしても書類の不備やスケジュールの把握などを誤ってしまい不支給となってしまうケースも多くあります。

申請についてお困りの際は一度ご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。