滋賀県東近江市で社会保険労務士をしております。小辰知己です。
36協定を締結し、労働基準監督署へ届出を済ませていたとしても協定上の限度時間を超えてしまう。
その様なことも珍しくはありません。
もちろん会社側も協定上の限度時間を守ろうとした上で超えてしまったのでしょうが、実際は違法残業となってしまいます。
36協定違反の罰則は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(労働基準法119条)。
拘禁刑の可能性もある重い罪であるため、違反しないよう注意が必要です。
今回は、36協定違反があった場合に生じるリスクについてお話します。
労働基準監督機関の業務
まずは労働基準監督機関の業務について確認します。
労働基準監督機関の目的は労働基準関係法令(労基法、最賃法、安衛法)などが企業等できちんと守られているかどうかについての監督指導を行います。
また監督指導を行う方法として以下の3つがあります。
- 臨検監督(各事業場への立ち入り調査)
- 呼出監督(労基署ん事業場の担当者を呼び出して監督指導を行う)
- 集団指導(労基署等で会議を開催したり、業界の会合に出かけたりして、行政指導を行う)
そして上記の監督・指導の結果、法違反がある場合には使用者に法律を守ってもらうための措置(是正勧告書の交付、地方検察庁への送致)をとるのが労働基準監督機関の主な目的となります。
地方検察庁への送致はいわゆる書類送検(送検)です。
労働基準監督機関は書類送検をする権限があります。
書類送検をされることで生じるリスク
上記のとおり労基法違反があった場合は労働基準監督署から刑事事件として立件されるリスクがあります。
36協定違反で立件されたケースは多くあり、大企業だけでなく中小企業においても立件されるケースは多々あります。
労基法の違反に関して会社だけでなく、違法残業を行った一般従業員の上司も書類送検される可能性があり注意が必要です。
企業名の公表
書類送検をされたからといって必ず刑事裁判になるわけではありません。
ただし、書類送検をされたことでニュースになってしまうことがあります。
その際には企業名が公表されるため、そうなってしまうと会社にとって大きなマイナスとなります。
採用面においてもそうですが、取引先からの信用低下なども十分にあり得ます。
36協定について
書類送検をされてしまうと企業が受けるダメージも相当大きいと言えます。
それでは上記のリスクを避けるために重要な労働時間の把握について解説します。
労働時間の把握
36協定の限度時間を守ることも当然重要ですが、自社の従業員の労働時間をきちんと把握することがとても重要です。
これが出来ていない会社が多いなと感じております。
管理方法としてはタイムカードによる管理がまだまだ多いのかなと感じております。
ただ徐々に勤怠システムを活用した労働時間管理へと移行していっているように感じます。
タイムカードによる管理がダメというわけではありませんが、勤怠システムを活用した方が労働時間の管理はしやすいと言えます。
いずれの記録方法にしても各従業員の労働時間を把握するための書類として重要なものであるので、企業には5年間の保存義務があります。
労働時間を正確に記録し、従業員の労働時間を把握する。
これが出来ずに結果的に長時間労働に繋がっているケースは多いです。
労働時間の把握がきちんとできていない会社は、まずは各従業員の労働時間を正確に把握するところから始めて頂きたいです。
もちろん労働時間を把握するだけで労働時間短縮に繋がるわけではないでしょうが、まず正確に把握して行くことが重要です。
おわりに
今回は36協定の限度時間を超えた場合のリスクやその対応について解説しました。
36協定の届出、勤怠管理システムの導入、労働時間削減などのご相談があればお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
