滋賀県東近江市にて社会保険労務士をしております小辰知己です。
従業員を雇用されている事業所であれば労働保険の加入が必要となります。
従業員の方が業務中に負傷した場合に国から給付が支給される制度です。
労働保険は従業員の方が負傷した場合の補償の制度であって、事業主が負傷をした際には補償はありません。
ただ事業主の方でも現場に出て作業をするということは多くあるかと思います。
そのような際に補償がないというのも不安になるのではないでしょうか?
今回は一人親方の制度について解説します。
別の記事でも特別加入について解説しております。
一人親方とは
個人経営の大工の方や個人タクシーの運転手などは労働者ではありません。
先ほども説明しましたが労働者ではないため、本来は労働保険の対象とはなりません。
しかし業務の実情からして、労働者に準じて保護することが適当であると認められる一人親方等については、特別に任意の加入を認め、業務災害・通勤災害の補償を受けることができるようになります。
一人親方の範囲は以下の労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする一人親方その他の自営業者及びその事業に従事する人となります。
ただし、労働者を使用する場合であっても、労働者を使用する日の合計が1年間に100日に満たないときには、
一人親方等として特別加入することができます。
- 自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若し くは自転車を使用して行う貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人貨物運送 業者など)
- 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、 破壊若しくは、解体又はその準備の事業(大工、左官、とび職人など)
- 漁船による水産動植物の採捕の事業
- 林業の事業
- 医薬品の配置販売(医薬品医療機器等法第30条の許可を受けて行う医薬品の配 置販売業)の事業
- 再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業
- 船員法第1条に規定する船員が行う事業
- 柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師が行う事業
- 改正高年齢者雇用安定法第10条の2第2項に規定する創業支援等措置に基づき、 同項第1号に規定する委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が新たに開始す る事業又は同項第2号に規定する社会貢献事業に係る委託契約その他の契約に基 づいて高年齢者が行う事業
- あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に基づくあん摩マ ツサージ指圧師、はり師又はきゆう師が行う事業
- 歯科技工士法第2条に規定する歯科技工士が行う事業
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律第2条第1項に規定する特 定受託事業者が同条第5項に規定する業務委託事業者から同条第3項に規定する 業務委託を受けて行う事業(以下「特定受託事業」といいます。)又は特定受託 事業者が業務委託事業者以外の者から委託を受けて行う特定受託事業と同種の事 業であって労働者災害補償保険法施行規則第46条の17第1号から第11号までに掲 げる事業及び労働者災害補償保険法施行規則第46条の18各号に掲げる作業を除い たもの
様々な業種の方が加入することが出来ます。
加入の方法
では一人親方として実際に特別加入をしたいと思った場合の流れについてご説明します。
一人親方等の特別加入については、一人親方等の団体(特別加入団体)を事業主、 一人親方等を労働者とみなして労災保険の適用を行います。
特別加入の手続きは、都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体が行うことになっています。
少しイメージしにくいかと思いますので図にしてみます。

一人親方の方が直接労働局長に加入を申し出るわけではなく、特別加入団体を介しての加入となります。
なお特別加入団体はお近くの都道府県労働局または労働基準監督署に問い合わせることで探すことが出来ます。
加入時健康診断について
以下の業務に従事する場合は加入時健康診断が必要となります。
「特定の業務(粉じん、振動、鉛、有機溶剤など)によって、すでに体に影響が出ていないか」を確認する検査です。
一般的な健康診断(身長・体重・血液検査など)と異なり、仕事の内容に合わせた専門的な項目を調べます。
診断の結果によっては労災の対象外となることがあります。
| 特別加入予定者の業務の種類 | 特別加入前に左記の業務に 従事した期間(通算期間) | 必要な健康診断 |
| 粉じん作業を行う業務 | 3年以上 | じん肺健康診断 |
| 振動工具使用の業務 | 1年以上 | 振動障害健康診断 |
| 鉛業務 | 6か月以上 | 鉛中毒健康診断 |
| 有機溶剤業務 | 6か月以上 | 有機溶剤中毒健康診断 |
特別加入が制限される場合
加入時健康診断の結果が次のような場合には、特別加入が制限されます。
- 特別加入予定者がすでに疾病にかかっていて、その症状または障害の程度が一般的に就業することが難しく、療養に専念しなければならないと認められる場合には、従事する業務の内容にかかわらず特別加入は認められません。
- 特別加入予定者がすでに疾病にかかっていて、その症状または障害の程度が特 定の業務からの転換を必要とすると認められる場合には、当該業務以外の業務についてのみ特別加入が認められることとなります。
保険給付を受けられない場合
特別加入前に疾病が発症、または加入前の原因により発症したと認められる場合には、特別加入者としての保険給付を受けられないことがあります。
特別加入者に関する業務上の災害及び二以上の事業の業務を要因とする災害として保険給付の対象となる疾病は、特別加入者としての業務を遂行する過程において、 その業務に起因して発症したことが明らかな疾病に限定されます。特別加入前に発症した疾病や特別加入前の事由により発症した疾病に関しては、保険給付の対象となりません。
したがって、加入時健康診断の結果、疾病の症状または障害の程度が、特別加入 についての制限を行う必要のない程度であった場合であっても、加入時点における 疾病の程度および加入後における有害因子へのばく露濃度、ばく露期間などからみ て、加入前の業務に主たる要因があると認められる疾病については、保険給付は行われません。
給付基礎日額
給付基礎日額とは、保険料や、休業(補償)等給付などの給付額を算定する基礎となるものです。
給付基礎日額が低い場合はその分、保険料も安くなりますが給付額も低くなります。
年間保険料は、保険料算定基礎額(給付基礎日額×365)にそれぞれの事業に定められた保険料率を乗じたものになります。
詳細に関しましては以下のPDF11ページ以下をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040324-6.pdf
特別加入者のしおりより引用
おわりに
今回は一人親方の特別加入について解説いたしました。
一人親方の制度に関してはご存じでない場合も多くあり、制度についてお伝えすると「ぜひ加入したい」との声も多く頂きます。
弊所でも特別加入の対応は承っております。
お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
