求人時の労働条件を採用時に変更してもよいか?

滋賀県東近江市で社会保険労務士をしております小辰知己です。

当法人では採用に関するご相談を多く受けております。

採用時の労働条件や採用後の動き(提出書類や試用期間など)など様々です。

また「求人票に明記した労働条件を変更しても良いか?」というご相談も受けることがあります。

こちらの記事では求人時の労働条件について確認していきます。

そもそも変更してもいいのか?

まずはそもそも求人の際に明示した労働条件を変更してもよいのか?という点ですが、変更は可能です。

ただし、変更にあたっては注意点がありそれらはきちんと守ったうえで変更しないとトラブルに発展する可能性があります。

職業安定法5条の3第3項にて求人の際に明示した労働条件を変更して求職者と雇用契約を締結する場合、事業主は求職者に対して変更内容を明示しなければならないとされております。

また「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針」の第三の二にて変更内容の明示は可能な限り速やかに行う必要があるとされております。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/shoukaihourei.html

厚生労働省HP「職業紹介事業に係る法令・指針」より引用

このように求人時の労働条件を変更することは可能ですが、求職者に対して変更内容を明示しないまま採用内定通知を出した場合などは、会社側と内定者の間でトラブルになる可能性があります。

また変更について会社側としてはきちんと説明したつもりが、本人には伝わっておらず結果的にトラブルになる場合もあります。

求人時の労働条件を変更する場合は変更箇所を明示+説明をし本人の同意を得ることが重要です。

たまに募集を増やすために求人内容を盛って募集をかけようとする会社が一定数ございます。

会社側からすると「採用後に理由をつけて労働条件を変更する」とか「入社してもらってから説明する」と言った主張をされるケースもありますが、それでは長期的に働いてもらえる可能性は低いと言えますので辞めておきましょう。

求人の際の労働条件の変更について争われた裁判例

では最後に判例を一つ確認していきます。

福祉事業者A苑事件(地裁2017年3月30日判決)

事案の内容

求人票には「契約期間の定めなし 定年制なし」と書かれていたが、入社後に期間の定めあり、定年を65歳とした労働条件通知書に署名押印させた事案。

求人票の条件が契約内容として扱われるべきかどうかについて争われた事案です。

結果的に労働者の勝訴となりました。

裁判所は「求人票記載の労働条件は、当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなどの特段の事情がない限り、雇用契約の内容となると解するのが相当である」としました。

原則は求人票の内容が労働契約の内容となるということです。

また裁判所は入社後に従業員の労働条件通知書への署名押印は、自由な意思に基づいてされたものと認められるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとは認められない(この労働者が既に前職を退職していたこともあり実質的に拒否しづらい状況で、自由な意思で合意したものとは認められないと判断された)として、効力は否定されました。

原則は求人票に明示された労働条件が雇用契約の内容となること、労働条件を変更する場合は丁寧な説明を得た上で署名・押印が自由意思でなされる必要があること。

これらを押さえ、正しいプロセスで労働条件の変更を行うようにしましょう。

おわりに

今回は求人時の労働条件の変更について書きました。

会社側としては理由があって変更をしたいと思うケースが多いかと思います。

このようなことで相談をしたいという場合はお気軽にお問い合わせください。

また求人票作成にも力を入れております。

お気軽にお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました。