滋賀県東近江市で社会保険労務士をしております。小辰知己です。
従業員を雇用している事業主にとっては労働基準監督署はとても身近な存在です。
また労働者として働かれている方も何か困った時の相談という形で身近に感じられる方も多いと思います。
何となく名前を聞くけど実際は何をしてくれるところなのか?という点を解説していきます。
労働基準監督官の役割
厚生労働省のHPには労働基準監督官について以下のように書かれております。
労働基準監督官は、労働基準関係法令に基づいて、事業場(工場や事務所など)に立ち入り、法に定める労働条件や安全衛生の基準を事業主に守っていただくよう、必要な指導を行い、労働条件の確保・向上と働く人の安全や健康の確保を図ります。また、不幸にして労働災害に遭われた方に対する労災補償の業務を行います。
企業が労働基準関係法令の理解を深め、適正な労働条件の定着を図っていくことができるよう努めています。
このように労働基準監督官は様々な役割があります。
もう少し深堀していきます。
労働基準監督官の権限
以下で労働基準監督官の権限をご紹介します。
✅労働基準法第101条第1項
「労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。」
調査のため、事業場の帳簿書類を確認したり、従業員などに尋問したりすることができます。
✅労働基準法第120条
「次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。」
四 第百一条の規定による労働基準監督官(中略)の臨検を拒み、妨げ、若しくは忌避し、その尋問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者」
立ち入りや調査を拒んだり、妨げたりした者は、労働基準法により処罰される場合があります。
たまに「調査が来たら必ず受けないといけないか?」との質問を頂くこともありますが、受けないといけないです。この点はご注意ください。
労働基準監督官が取り扱う法律は?
では労働基準監督官が取り扱う法律はどのようなものがあるかを確認していきます。
労働基準監督官が取り扱う、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、じん肺法、家内労働法、賃金の支払の確保等に関する法律などの法律を指して、労働基準関係法令といいます。
ここで注目して頂きたいのが労働契約法や民法は含まれないという点です。なので解雇、配置転換、退職のトラブルは労働基準監督官が扱えないということになります。
また労働者の社会保険料(健康保険、厚生年金)に関しても取り扱いはありません。
監督指導について
監督指導についても触れておきます。実際に監督指導に入られた方もおられるでしょう。
監督指導は労働基準法などに基づき、定期的にあるいは働く人からの情報を契機として、事業場に立ち入るなどにより、機械・設備や帳簿などを検査して、関係労働者の労働条件について調査を行います。
法違反が認められた場合には、事業主などに対しその是正を指導するほか、危険性の高い機械・設備などについては、その場で使用停止などを命ずる行政処分を行うこともあります。
労働基準監督官への申告
監督指導は労働基準監督官から事業場への立ち入りをしますが、労働者が労働基準監督官へ労働基準関係法令違反の行政指導を求めることも可能です。(労働基準法104条)
これをきっかけに労働基準監督官が事業場に臨検をし、事業主に来所を求め直接事情を聴取するなどして事実確認を行います。
その結果法違反があった場合、是正を図るよう指導していきます。
是正勧告を受けて是正をしない場合
では最後に労働基準監督官が行う司法処分について触れていきます。
監督指導の結果、労働基準監督官より是正勧告を受けた法違反を是正しないなどの場合は強制捜査を含む司法警察権限を行使し、送検します。
なお東京労働局が令和元年6月の発表によると同局内では平成30年度に78件送検しているとのことです。
その内訳ですが労災隠し、設備の安全基準を満たさないため労災を発生させた事案など(労働安全衛生法違反被疑事件)が約40%、賃金未払いや長時間労働など(労働基準法等違反被疑事件)が約60%となっています。
終わりに
今回は労働基準監督署の役割について書きました。
役割を確認頂くとともに、労働基準監督官の権限なども理解いただけたかと思います。
その中で一番事業主の方が気になるのが労働基準監督署の調査です。
調査に入られたとしても、問題のない職場環境整備を事前に進めておきましょう。
弊所では労基署調査対応を行っております。
お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
